顔認証によるパスワードレスの導入メリットや注意点、利用例は?

2024/05/10

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「ログインに必要なパスワードを覚えておくのが大変」という悩みや、「セキュリティに配慮したパスワード管理は負担が大きいと感じる」という思いを抱えている方は少なくありません。

顔認証によるパスワードレス化は、セキュリティや利便性に優れた認証方法として注目されている技術です。

この記事では、顔認証を用いたパスワードレスの仕組みや導入メリット、注意点などについて解説します。また、具体的な利用例も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。


 

■顔認証によるパスワードレスとは?

顔認証によるパスワードレスとは、ユーザーがサービスやシステムにログインする際に、認証情報として生体である顔を使用して本人確認を行なう技術です。

顔認証システムは生体認証システムの一種であり、目や鼻、口、顔の輪郭などの特徴データを認識します。顔の認識によって個人を識別し、本人認証を行ないます。

一般的な認証では、認証情報にIDと「パスワード」を用いて文字列の一致をもって認証します。運用時はこれらの認証情報を記憶しておき、ログイン時にそれらを入力するプロセスが必要です。しかし、顔認証によるパスワードレス認証では、この「パスワード」を記憶しておく必要がありません。

また、顔という生体情報は人がそれぞれに持つ独自の特徴であり、情報の偽造が困難です。そのため、顔認証はセキュリティレベルが非常に高い認証手段であるといわれています。

関連記事:パスワードレス認証とは?安全性や導入のメリット、実現方法を詳しく解説


 

■顔認証によるパスワードレス認証が注目されている理由

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顔認証によるパスワードレス認証が注目されているおもな理由は、セキュリティと利便性の両立です。

企業において、情報漏洩・なりすましによる窃取など巧妙かつ多様化する攻撃手法に備える必要性から、セキュリティ対策の重要度は高まっている傾向にあります。顔認証という生体認証を用いることで、なりすましや不正アクセスのリスクを低減し、高いセキュリティレベルを実現することが可能です。

また前述したとおり、顔認証を用いた認証では、ユーザーは複雑なパスワードを覚える必要がなく、認証器に顔を翳すことで簡単かつ迅速に認証できます。

近年では、顔認証技術の進化により、認証精度が大きく向上しています。化粧や髪形の変化、顔の経年変化にも対応できる顔認証システムも存在し、技術の進歩度合いが顕著です。

そのため、オフィスの入退室管理や空港における本人確認など、多くの場所で顔認証システムの導入が進んでいます。


 

■顔認証システムの仕組み

一般的に、顔認証システムでは動画や画像から個人の顔を読み取り、目・鼻・口などの特徴となる部分の位置や顔領域の大きさ、比率などを分析します。

ディープラーニングを活用したAIが採用されている場合が多く、高精度な照合を実現できる仕組みです。

ここでは、顔認証システムの仕組みについて、形態と認証方式に分けて紹介します。


 

◇顔認証端末(デバイス)型とクラウドサービス型

顔認証システムの形態には以下の2種類があります。

●    顔認証端末(デバイス)型
●    クラウドサービス型

顔認証端末(デバイス)型では、専用カメラや機材などのデバイス自体が顔のデータを収集し、認証を実行します。認証処理はすべて端末内で行なわれるため、ネットワーク環境に左右されにくく、遅延が少ないのが特徴です。

一方クラウドサービス型では、カメラで撮影した顔の映像データをインターネット経由でクラウドサーバーへ送信し、認証処理を行ないます。スマートフォンやタブレットなどを活用しての顔認証が可能です。


 

◇2D顔認証方式と3D顔認証方式

顔認証システムの認証方式には、以下の2種類があります。

●    2D顔認証方式
●    3D顔認証方式

2D顔認証方式では、カメラで撮影した顔画像から、目・鼻・口などの特徴点の位置を分析して認証を行ないます。髪形や化粧、照明などの変化に影響を受けやすいものの、比較的低コストで導入できるため、現在は広く普及している認証方式です。

3D顔認証方式では、赤外線センサーで顔の立体的な形状をとらえることで、より高精度な認証を実現します。2D顔認証方式よりも精度の高い認証が可能ですが、専用のカメラや赤外線センサーが必要です。


 

■顔認証のパスワードレス認証を導入するメリット

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顔認証のパスワードレス認証を採り入れることで、個人や企業はさまざまなメリットを享受できます。

顔認証を利用したパスワードレス認証の導入メリットを、4つ紹介します。


 

◇セキュリティレベルが向上する

一般的なパスワード認証には、推測や漏洩のリスクがつきものです。簡易な文字列や個人の特徴から類推されやすい文字を含むパスワードは、脆弱性が高く、不正アクセスを容易にする要因になります。

しかし、顔認証によるパスワードレス認証は、生体情報に基づいています。そのため、第三者による推測や情報漏洩のリスクが大幅に低減されます。

顔認証を用いたパスワードレス認証によってセキュリティレベルが向上し、悪意のある不正アクセスから個人や企業の情報や資産を守ることができる点は、大きなメリットです。


 

◇認証プロセスを効率化できる

顔認証システムによる認証ではパスワード入力の手間がなくなるため、システムへのログインやオフィスへの入退室などの認証プロセスを大幅に効率化できます。

ユーザーは複雑なパスワードを覚える必要がなく、スムーズな認証が可能です。認証のステップに要する時間が短縮され、業務効率の向上も期待できるでしょう。


 

◇アカウント管理をシンプルに行なえる

顔認証によるパスワードレス認証を採り入れることで、複数のサービスで所持しているアカウントごとに異なるパスワードを設定する必要がなくなり、パスワードを管理する負担が大きく軽減されます。

サービスの管理者側も、パスワードリセットやパスワード変更などの作業を行なう必要はありません。

また、パスワードを忘れた場合の心配もなくなり、アカウント管理がシンプルになることで、ユーザーのシステム運用にかかるストレスを軽減できます。


 

◇非接触で認証できる

顔認証システムは、パスワード入力やカードリーダーなどの接触認証とは異なり、カメラで顔をスキャンするだけで認証を行なうことができる方法です。そのため、非接触で衛生的な認証が可能となり、感染症対策にも有効です。

また、荷物などで両手がふさがっていても認証が実行可能な点も、顔認証によるパスワードレス認証のメリットといえるでしょう。


 

■顔認証を利用したパスワードレス認証の具体例

顔認証システムを用いたパスワードレス認証を使う場面としては、以下のようなものが挙げられます。

●    スマートフォンやタブレットのロック解除
●    パソコンのログイン
●    顔認証シングルサインオン(SSO)

スマートフォンやタブレットには個人情報や重要なデータが多数保存されており、セキュリティを確保するための対策が必要です。

これらのデバイスの保護には、パスコードやパターンロックなどの手段が一般的に使われています。しかし、顔認証を利用したパスワードレス認証を導入すれば、パスコードを入力する手間なしに、高いセキュリティを保ったままデバイスをロック解除することができます。

また、パソコンのログイン時にも顔認証を利用することが可能です。パスワード入力の手間が省けるだけでなく、同じ顔認証情報で複数台のパソコンを利用できるため、IDやパスワードを用いる一般的な認証と比べて利便性が向上します。

さらに、顔認証シングルサインオン(SSO)も便利な使い方の一つです。

SSOは一度のユーザー認証で複数のシステムが利用できる仕組みです。SSOと顔認証を組み合わせることで、1回の顔認証で効率的に複数のシステムが利用できるため、パスワード管理の負担を大きく軽減できます。


 

■顔認証によるパスワードレス認証を利用する際の注意点

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顔認証を用いたパスワードレス認証はセキュアかつ利便性の高い方法ですが、一方で注意点もいくつかあります。

ここでは、顔認証によるパスワードレス認証を実際に導入する際に、注意すべきポイントについて解説します。


 

◇認証精度の差

顔認証システムの精度は、製品によって異なります。高度な技術を持つ顔認証システムでは、なりすまし防止策やマスクの着用時にも認証可能な機能を提供しています。

しかし、すべての顔認証システムが、経年変化やマスク着用時の認証に対応しているわけではありません。

製品ごとに異なる認証精度に注意することが大切です。実際に顔認証システムを導入する場合には、できるだけ高精度の製品を選択するとよいでしょう。


 

◇利用環境の影響

天候や照明の影響によって、顔認証の精度が低下する可能性もあります。

屋外利用や極端に明るい環境、あるいは暗い環境では、認証精度が低下する製品も一部存在します。また、汚れや水滴に対する耐性も製品によって異なります。

そのため、実際に運用する際は、利用環境に応じて適切な顔認証システムを選ぶことが重要です。


 

◇プライバシー保護への配慮

顔認証システムで使用される顔のデータは、「個人情報」として取り扱われます。そのため、顔認証データの利用目的を明確化することと、本人への通知が必要です。

顔認証データは、認証目的以外での利用や漏洩が法的な問題を引き起こす可能性があるため、厳格な管理が求められます。

システムを導入する前に、データを管理・運用する方法を確立し、個人情報である顔データの取り扱いに細心の注意を払うことが大切です。


 

■顔認証のパスワードレス認証を導入するなら「GMOトラスト・ログイン」がおすすめ

GMOトラスト・ログインは、IDを一元管理し業務環境のセキュリティを向上させるクラウド型のID管理サービス(IDaaS)です。

ID・パスワード管理、シングルサインオン、認証強化、ID連携の機能を提供し、顔認証によるパスワードレス認証にも対応しています。

顔認証によるパスワードレス認証を導入する際には、GMOトラスト・ログインと「JCV Face Login」の組み合わせがおすすめです。

JCV Face Loginは専用の機器は不要で、カメラ付きデバイスがあれば顔認証ログインシステムを利用できます。

独自の顔認証アルゴリズムを搭載したJCV Face LoginとIDaaSのGMOトラスト・ログインを組み合わせれば、顔認証を利用して社内システムやSaaSへのログインをパスワードレス化できます。

GMOトラスト・ログインのプロプランとJCV Face Loginをセットでご利用いただく場合、両サービスをお値引価格でご提供いたします。ぜひこの機会に顔認証によるパスワードレス化をご検討ください。

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■まとめ

顔認証によるパスワードレス認証は、ユーザーがデバイスやシステムにログインする際に、顔認証を使用して本人確認を行なう技術です。

この技術はセキュリティレベルが高く、パスワードを覚える必要がないため、ユーザーにとっては大きなメリットがあります。認証プロセスがスムーズになり作業効率の向上が期待できるほか、非接触で衛生的な認証方法のため感染症対策にも有効です。

ただし、実際に導入する場合には、製品ごとに異なる認証精度や利用環境の影響、プライバシー保護などを考慮する必要があります。

適切な製品を選択し、顔認証データを適切に管理して、顔認証によるパスワードレス認証を導入し、セキュリティと利便性を向上させましょう。

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この記事を書いた人

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GMOグローバルサイン株式会社
トラスト・ログイン事業部
プロダクトオーナー
森 智史

国内シェアNo.1のSSL認証局GMOグローバルサインで10年間サポート部門に従事。抜群の知識量と分かり易い説明で多くのお客さまからご支持いただく。
現在は自社IDaaSのプロダクトオーナーとしてお客さまの意見を伺いながら使いやすくセキュリティの高いサービスを開発者たちと共に作成中。