【特定荷主向け】改正物流効率化法によるCLO設置義務とデジタル統制の整備

2024年問題を契機に、物流業界では構造的な対応が求められています。 2026年4月1日に施行される改正物流効率化法により、一部の荷主や物流事業者には、中長期計画の提出・定期報告・物流統括管理者(CLO)の選任などの義務が新たに課されます。
これまで運送事業者主体で進められてきた取り組みに、荷主側の責務が加わります。本記事では、制度の概要と対象範囲、そしてCLO業務にも関わるID管理やアクセス統制の整備ポイントを整理します。
1. 改正物流効率化法の概要
正式名称は「物資の流通の効率化に関する法律」で、物流分野における効率化と持続可能性の確保を目的としています。改正後は対象に応じた3段階の取組が想定されています。
- すべての荷主:判断基準に沿った取り組み(努力義務)
- 一定規模以上の荷主(特定事業者):中長期計画と定期報告が義務化
- 特定荷主・特定連鎖化事業者:上記に加えて物流統括管理者(CLO)の選任が義務化
特定荷主の指定基準については、経済産業省の資料などで「取扱貨物重量9万トン程度」が目安として示されています(2026年2月時点では最終告示前)。
2. 実務スケジュールと主要手続き
省令・命令案に基づく主な手続きは次のとおりです。
- 📅 取扱貨物重量の届出:毎年度5月末までに提出
- 📅 中長期計画の提出:毎年度7月末までに提出
- 👤 CLO(物流統括管理者)の選任:「選任すべき事由が生じた日以後遅滞なく」選任
特定荷主として指定通知を受けた企業は、速やかに体制整備を進めることが推奨されます。
3. 義務不履行に関する措置
改正法では努力義務だけでなく、行政指導・命令・罰則に関する規定も整理されています。勧告に従わない場合は公表や命令の対象となることがあり、その後に再度不履行が確認された場合、100万円以下の罰金が適用される可能性があります。
罰則だけでなく、社名公表等により企業の信用や取引に影響を及ぼすおそれがあるため、法対応に加え、ガバナンス体制の可視化が重要と言えます。
4. CLO業務と「デジタル統制」の関係
CLOは、社内外の複数システムや委託先をまたぐ情報管理を担当します。バース予約やTMS・WMS・3PL・EDI・在庫システムなど、物流DX化が進むほど関わるサービスは増加します。このとき、特に課題になりやすいのが以下の領域です。
- 退職者・異動者アカウントの残存
- 複数サービスでの共通IDの使い回し
- MFA(多要素認証)の不統一
- ログやアクセス記録の分散
計画提出や監査対応においては、「ガバナンスが機能している状態」を説明できることが求められます。そのため、ID管理・アクセス制御・ログ整備(IAM領域)の基盤整備がCLO業務の中核を占めます。
5. GMOトラスト・ログインを活用した実務支援の例
※本製品は法令適合を直接保証するものではありません。
- SSOによるログイン統合:複数システムへの認証を一本化し、現場の操作負担を軽減。
- MFA方針の統一:重要システムに応じた適切な強度で多要素認証を適用。
- ログ統合管理:「誰が・いつ・どこに」アクセスしたかを一元的に確認。
- アカウント棚卸し支援:退職者・委託先などのID運用を可視化し、放置リスクを軽減。
こうした仕組みを活用することで、「説明できるガバナンス」を運用面から支えることが可能になります。
6. 2026年施行に向けた準備チェックリスト
【体制面】
- 特定荷主に該当するかを早期に把握
- 届出窓口の整理
- CLO候補者を内定(経営判断に関与できる立場)
- 横断チームの設置
【デジタル面】
- 物流SaaS・システムの棚卸し
- MFA(多要素認証)の方針統一
- ログの保管・検索・報告フローの整備
7. よくある質問
- Q. CLOはいつまでに選任すべきですか?
- A. 条文では「選任すべき事由が生じた日以後遅滞なく」とされています。
- Q. 特定荷主はどのように決まりますか?
- A. 経済産業省の資料では、年度取扱貨物重量9万トン程度が目安とされています。
- Q. 罰則はありますか?
- A. CLO未選任や届出違反など、類型により100万円以下の罰金の規定があります。