SaaS管理の重要性とは?ツール選定・導入のポイントを解説

2025/08/28

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SaaSの導入が急増し、多くの企業において「SaaS管理」が課題となっています。SaaS管理が行き届かないことが原因で、「利用しているSaaSを把握できない」「退職者のアカウントが放置されている」など、さまざまな無駄やセキュリティリスクが発生している状況です。

本記事では、SaaS管理が必要とされる背景やその重要性、企業が抱える課題について解説します。加えて、SaaSを管理するツールを導入するメリットや選定する際のポイント、具体的な導入ステップについても併せてご紹介します。

 

■SaaS管理とは?いま注目される背景

SaaS管理とは、企業内で利用されている複数のSaaS(クラウド型ソフトウェア)を効率的かつ安全に管理・運用することを指します。

近年の急速なデジタル化やリモートワークの拡大により、その利便性から多くの企業が業務でSaaSを活用するようになりました。しかし、便利である反面、SaaSの数が増えるほど管理が煩雑になり、現在ではさまざまな課題が顕在化しています。

特にセキュリティリスクは深刻な問題です。例えば、SaaS管理が行き届かずに退職者や異動者のアカウントが放置されていると、他の従業員や第三者によって許可されていないSaaSが使用されるリスクが高まります。

このような背景から「SaaS管理」は企業にとって急務となっています。
 

■SaaS管理のよくある課題

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多くの企業が業務のためにSaaSを導入する一方で、その管理においてさまざまな課題を抱えています。ここでは、企業がSaaS管理において直面する、よくある課題について解説します。
 

◇社内で使われているSaaSを正確に把握できていない

企業では、部門単位・担当者単位で個別にSaaSが導入されるケースが少なくありません。そのため、全社的な利用状況の把握が難しくなっています。その結果、「サービスがほとんど利用されず放置されている」「社内で許可されていないSaaSの使用(シャドーIT)が増えている」といった問題が生じています。

このような状況はセキュリティリスクを高めるだけでなく、無駄なコストの増加にもつながるため、早急な対策が必要です。しかし、管理ツールの導入や運用ルールの整備がなければ、どの業務でどのサービスが利用されているかを一元管理することは難しく、問題解決はより困難になります。
 

◇退職者や異動者のアカウントを削除できていない

退職者や異動者のアカウントが削除されずに放置される状態もよく見られる課題です。退職・異動社員のアカウントが有効なまま残っていると、内部の機密情報へ不正にアクセスされる可能性があり、企業のセキュリティに深刻な影響を与えかねません。

さらに、不要なアカウントが蓄積されると管理作業が煩雑化し、正確な実態把握が難しくなります。結果として問題の解決が先送りされ、セキュリティリスクが一層高まります。

こまめにアカウントをチェックすることは重要ですが、手作業での管理には限界があります。アカウントが多くなるほど見落としや削除漏れは増えるため、正確なアカウント棚卸しや人事システムとの自動連携など仕組みの導入が必要です。

 

◇重複課金や自動更新で無駄なコストが発生している

複数の部門や担当者が同じSaaSを別々に契約した結果、ライセンスの重複が発生し、無駄なコストが増えるケースも多くあります。また、契約更新時期や解約期限を把握できておらず、気付かないまま自動更新され、使用していないサービスに課金が続くこともあります。

アカウントやライセンス、契約情報が一元管理されていないと、利用状況の適正化やコスト削減が非常に難しくなります。このような課題を解決するには、管理体制の整備やSaaS管理ツールの導入により、全社的な利用状況や契約状況を可視化・最適化することが不可欠です。

 

◇コンプライアンス・セキュリティリスク対策が十分でない

未管理のSaaSやそのアカウントが存在している状態は、個人情報や機密情報が漏洩するリスクが非常に高い状態です。アクセス権限の管理や監査が不十分な状況では、システムやサービスの不正利用や情報の持ち出しが起きやすくなるため、企業の信頼性を著しく損なう恐れがあります。

また、多要素認証や監査ログの取得・保管 といったセキュリティ要件を満たしていない場合、コンプライアンスや社内ポリシーに抵触する危険もあります。 このようなリスクを軽減するためには、厳格なアクセス管理と定期的な監査体制の構築が欠かせません。

 

■SaaS管理ツールを導入する4つのメリット

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SaaS管理に苦慮している企業は、SaaS管理ツールを導入することでさまざまな課題を解決できます。具体的なメリットを説明します。

 

◇アカウント・権限を可視化できる

SaaS管理ツールでは、誰がどのSaaSを利用しているか、どの権限を持っているかを一元的に把握・管理できます。退職者や異動者のアカウントも一括管理できるため、削除漏れや重複発行を防止し、アカウント管理の効率が大幅に向上します。

さらに、シャドーITや不要なアカウントの発生を抑制でき、セキュリティリスクの軽減にもつながります。
 

◇契約やライセンスの一元管理が可能になる

複数のSaaSにおけるライセンス契約や利用状況、契約更新日を一元管理できます。これにより、契約の重複や未使用ライセンスを発見しやすくなり、無駄なライセンス費用の削減やリソース最適化が実現します。
契約更新や解約漏れも防止でき、運用コストや人的ミスを抑えられます。
 

◇SaaSの各ツールを有効活用しやすくなる

SaaSごとの利用状況を詳細に分析できるため、使われていないサービスを特定し、ライセンスの見直しや最適化が可能です。
結果として、その結果、ユーザーに対して適切な権限を割り振ることができるようになるなど、サービスの機能を最大限に活用できる環境を構築できます。さらに、必要なサービスの組み合わせを柔軟に調整することにより、現場の要望や業務効率化に即したSaaS運用が実現しやすくなるでしょう。
 

◇情報統制・内部統制がしやすくなる

アカウントやアクセス権限、監査ログを一括管理できるため、コンプライアンスや企業のガバナンス体制・セキュリティ基準に則ったSaaS運用がしやすくなります。これにより、コンプライアンスやセキュリティ基準に則ったSaaSの運用がしやすくなり、法令遵守にかかわるリスクを大幅に低減できます。

また、監査に必要な証跡(ログや操作記録)も簡単に取得でき、内部統制の効率化と透明性の向上に貢献します。結果として、企業の信頼性向上にもつながるでしょう。


 

■SaaS管理ツールのおもな役割

SaaS管理ツールは、利用するSaaSや企業規模が拡大するほどその重要性が高まり、運用の質を高めるためには不可欠です。ここでは、SaaS管理ツールが果たす重要な役割について具体的に解説します。
 

◇シングルサインオン(SSO)連携

SSOは、複数のSaaSへのログインを一つのIDとパスワードで統一し、ユーザーの「パスワードを忘れてしまってログインできない」ということもほぼ起こりません。アクセス管理も簡略化され、人的ミスや不正ログインのリスクが減少が見込まれるため、ユーザーにとっても管理者にとっても利便性を大きく向上させる機能です。
 

◇アカウントの自動発行・削除

新入社員や異動者のアカウント登録・権限付与が自動化され、退職や異動時の削除も自動で行われます。これにより、IT担当者の負担を軽減し、不正ログインや情報漏洩といったセキュリティリスクを低減できます。
 

◇利用状況レポート

SaaSごとの利用状況やライセンス消化状況を自動的にレポート化します。未使用アカウントや無駄なサービスを容易に特定でき、コスト削減や導入サービスの最適化を効率的に進めることができます。
 

◇契約・更新管理

契約期間や更新日、担当者、条件を一元管理できます。契約期間や更新日、契約条件などの情報を漏れや重複なく把握でき、リマインド通知機能を活することで、更新漏れや不要契約の継続を防止に役立ちます。
 

◇アラート通知・監査ログ

SaaS管理ツールは、不正ログインやアカウントの削除漏れなどの重要なアクションや異常を検知すると、即座にアラート通知を行なう機能を備えています。リアルタイムに警告があれば迅速に対応できるため、セキュリティ事故の回避・未然防止が可能です。

また、すべての操作やログイン情報は自動的に監査ログとして記録され、不正利用の抑制やセキュリティ強化に活用されます。これらの監査ログは、社内監査や内部統制の証跡提出に活用でき、トラブル発生時の原因追及にも役立ちます。

 

■SaaS管理ツールの選定ポイント

SaaS管理ツールを選ぶ際には、機能やコスト、セキュリティ、サポート体制など複数の観点から、自社のニーズに適合しているかどうかを見極めることが重要です。ここでは、最適なSaaS管理ツールを選定するためのポイントを押さえましょう。
 

◇自社が使っているSaaSと連携可能か

自社利用中のSaaSと管理ツールが連携できるかを事前に確認しましょう。
未対応のSaaSが多いと逆に管理の手間が増えることがあるほか、見える化も不十分になります。対応しているSaaSの種類やAPI連携の範囲をよく確認し、自社の利用環境やニーズに合ったツールを選びましょう。

 

◇使いやすさとITスキルの必要レベルはどうか

直感的に操作できるUI(ユーザーインターフェース)があるか、現場担当者でも扱えるかを確認してください。
特定の担当者しか使いこなせないといった属人化を避けるためにも重要です。

デモを利用し、実際に管理画面の見やすさや機能の配置、操作に必要なスキルレベルを検証して自社に適したツールを選定しましょう。

 

◇セキュリティ機能は十分か

SSOや多要素認証、アクセス制御、監査ログなど基本機能に加え、自社のセキュリティポリシーやコンプライアンス要件を満たす機能を備えているかをチェックしましょう。
データ暗号化や利用状況のリアルタイム監視機能など最新のリスク対策機能の有無、ISO27001やSOC2認証の有無も判断材料になります。
 

◇サポート体制が整っており導入しやすいか

導入前後のサポート、トレーニング、マニュアルの充実度も重要です。スムーズな導入・運用を支える要素になります。
カスタマーサクセスや専任の担当者が設けられてる体制であれば、社内展開時や導入後も安心して運用できるでしょう。

SaaS管理の成功ステップと実践のコツ

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SaaS管理およびSaaS管理ツールの導入は、計画的かつ段階的に行なうことにより最大限の効果を引き出せます。ここでは、具体的な導入プロセスと実践のコツについてご紹介します。

◇ STEP1:SaaS利用状況の棚卸しと可視化

まずは、社内で使用しているすべてのSaaSをリストアップし、部署や担当者ごとに利用状況やアカウント数を正確に把握するための「棚卸し」を行ないましょう。属人化やシャドーITを防ぐために、現場へのヒアリングやIT部門と連携し漏れがないよう徹底して確認することが重要です。

このプロセスにより、利用状況の一覧化と可視化が可能となり、重複導入や未活用ツールを発見しやすくなります。正確な棚卸しがSaaS管理の第一歩であり、効率的な運用へとつながる重要なステップです。
 

◇ STEP2:アカウントと契約内容の見直し

退職者や異動者のアカウント整理と不要なライセンスの見直しを徹底し、利用権限や契約内容を最新化します。
未使用アカウントや重複ライセンスの洗い出しを行なうことによって無駄な運用コストを削減しつつ、セキュリティリスクを低減できます。

また、SaaSごとの契約更新日や利用条件を一元管理して、不要な契約の自動更新を防ぐことも不可欠です。このような見直し作業が、SaaSの運用効率化とコスト最適化の基盤を築きます。
 

◇ STEP3:社内ルールの策定と周知

新規SaaS導入、アカウント発行・削除、契約管理業務のフローを標準化しましょう。ここでルールを改めて整備することで、その後新たなSaaS導入時も効率的に運用できる体制基盤を構築できます。

また、部署ごとに異なるルールが生じないよう、全社で統一されたポリシーやガイドラインを文書化し、全従業員に周知徹底することも欠かせません。これにより、管理の属人化や運用のばらつきを防ぐことができるため、SaaS管理を組織全体で一貫したものにできます。
 

◇ STEP4:SaaS管理ツールの導入と運用体制の構築

STEP3まで整ったら、自社利用中のSaaSに対応できる管理ツールを選定し、段階的な移行計画を立てましょう。

申請や承認、アカウント削除や契約更新といった運用の標準フローを整備し、全社的に運用が定着を目指すことで、効率的かつ安全なSaaS管理体制を構築できます。
 

◇ STEP5:継続的な見直しによる最適化

SaaS管理ツールは導入がゴールではありません。定期的にアカウントやライセンス情報、契約内容の棚卸しを行ない、実際の利用状況に合わせて最新化し続けることが重要です。SaaS管理ツールのレポートや監査ログを活用し、セキュリティやコスト面の問題点を早期に発見して改善する仕組みを整えましょう。

新たなSaaSの導入や社内環境の変化に応じて、社内ルールや管理フローを柔軟に見直すことを継続的に行うことが、安全かつ効率的なSaaS運用には欠かせないプロセスです。


 

SaaS管理のお悩みはGMOトラスト・ログインで解決!

ノウハウがない状態でSaaS管理を始めるのは困難です。そこでおすすめなのが「GMOトラスト・ログイン」です。

社内外のアカウントを一元管理し、シングルサインオンや多要素認証によって安全なアクセスを実現します。さらにActive Directory連携や自動アカウント管理も可能で、運用工数の削減に貢献します。

無料利用中でも基本機能を活用でき、導入から運用までサポートがあるため、専門知識がなくてもスムーズにSaaS管理体制を構築できます。
また、2025年8月にリリースされたSaaS管理プランと組み合わせれば、アカウント追加や削除を完全自動化し、契約管理も一元化することが可能となり、SaaS管理負担を大幅に軽減できます。

 

■まとめ

SaaSを適切に管理できず、コストを浪費したりセキュリティリスクを抱えたりする企業は少なくありません。これを解決するには、SaaS管理ツールの導入と適切な活用が重要です。

ただし、単に導入するだけでは効果は限定的です。利用状況の棚卸し → 契約・アカウント見直し → ルール策定 → 管理ツール導入 → 継続的改善
というステップを踏むことで、効率的かつ安全なSaaS運用が可能になります。

SaaS管理に課題を感じている方は、まず社内のSaaS利用状況を把握するところからぜひ始めてみてください。

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この記事を書いた人

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GMOグローバルサイン株式会社
トラスト・ログイン事業部
プロダクトオーナー
森 智史

国内シェアNo.1のSSL認証局GMOグローバルサインで10年間サポート部門に従事。抜群の知識量と分かり易い説明で多くのお客さまからご支持いただく。
現在は自社IDaaSのプロダクトオーナーとしてお客さまの意見を伺いながら使いやすくセキュリティの高いサービスを開発者たちと共に作成中。