企業のパスワード漏洩対策|今すぐできるチェック方法と発覚時の緊急対応を解説

2025/11/11

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サイバー攻撃の巧妙化により、企業のパスワード漏洩リスクは年々深刻化しています。ひとたび漏洩すると、機密情報の流出・事業停止(ランサムウェア含む)・信用失墜など、経営に直結する被害につながりかねません。 

この記事では、法人向けに

  • パスワード漏洩をチェックする方法(3つ)

  • 漏洩が企業に与える経営リスク(5つ)

  • 漏洩の主要原因(4つ)

  • 発覚時の緊急対応(4つ)

  • 恒久対策としてのIDaaS
    を、すぐ実務に落とせる形でまとめます。

【法人向け】パスワード漏洩をチェックする3つの方法 

「自社の認証情報が漏洩していないか」を定期的に確認するのは、企業セキュリティの基本です。ここでは、すぐ実践できる3つを紹介します。

1)Googleの「パスワードチェックアップ」で漏洩を確認する 

Googleアカウントには「パスワードチェックアップ」機能があり、保存されている認証情報を既知の漏洩DBと照合して、

・漏洩している可能性があるパスワード

・脆弱なパスワード

・使い回しのパスワードを検出・警告します。

 

2)Have I Been Pwned(HIBP)でドメイン全体を検索する 

HIBPは、漏洩情報の確認サイトとして広く知られています。法人向けの有料機能 Domain Search を使うと、自社ドメイン全体に対して、侵害データに含まれていないかを一括調査できます。 
漏洩が発生した際に通知を受け取る体制づくりにも役立ちます。

3)ダークウェブモニタリングサービスを利用する 

より積極的に監視するなら、専門のダークウェブモニタリングが有効です。24時間365日の監視で、認証情報や機密情報が売買されていないかを早期に検知し、被害拡大前に対策しやすくなります。 

 

■パスワード漏洩が企業に与える5つの経営リスク 

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パスワード漏洩は「情報流出」だけに留まらず、経営リスクとして連鎖します。 

1)顧客情報・機密情報の漏洩による信用失墜 

パスワード漏洩は不正アクセスの突破口となり、顧客の個人情報や社内の技術情報といった重要データの流出につながります。 
また、一度でも情報漏洩インシデントを起こした企業は、顧客や取引先からの信頼を著しく損ない、ブランドイメージの低下や契約解除を招くおそれがあります。 失われた信頼を回復するには莫大なコストと長い年月が必要です。結果として、企業の競争力を長期的に低下させる要因となります。 
 

2)金銭的損害による事業継続の危機 

情報漏洩インシデントが発生すると、原因調査やシステムの復旧、顧客への補償、損害賠償請求への対応など、多大な費用が発生します。 
IBM社の調査によれば、データ侵害によって企業が被る世界平均の総コストは年々増加傾向にあり、2024年には488万ドル(日本円で約7億円超)に達しました。
このような直接的・間接的な金銭的負担は企業の財務を大きく圧迫し、ときには事業継続そのものを脅かす事態に発展することもあります。 
 

3)ランサムウェア感染による事業の停滞 (二重恐喝含む)

漏洩したパスワードは、事業停止を引き起こすランサムウェア攻撃に悪用されるケースが増えています。攻撃者は盗んだ認証情報を用いて社内ネットワークへ侵入し、基幹システムのデータなどを暗号化して身代金を要求します。 
さらに、支払いに応じなければデータを公開すると脅す「二重恐喝」の手口も増加中です。金銭的な被害だけでなく、情報漏洩を再び引き起こすおそれもあります。 
結果として、生産ラインの停止やサービス提供の中断など、事業に対して壊滅的な影響をおよぼす可能性があります。 
 

4)サプライチェーン全体への被害拡大

自社のパスワード管理の不備が、取引先や関連会社を含むサプライチェーン全体を標的とする攻撃の起点となるリスクも深刻化しています。 
これは、セキュリティ対策が比較的脆弱な企業を踏み台として、その取引先である大企業への侵入を試みる「サプライチェーン攻撃」です。この攻撃は自社のみならず、ビジネスパートナー全体を巻き込む大規模インシデントに発展するおそれがあります。 
もはや自社単独での対策だけでは不十分であり、サプライチェーン全体での連携が不可欠です。 
 

5)監督官庁への報告義務と行政処分 

現行の個人情報保護法では、不正アクセスなどによって個人情報の漏洩が発生し、個人の権利や利益を害するおそれが大きい場合、企業には個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務付けられています。 
また、インシデントの認知からおおむね3~5日以内の速報が求められるなど、迅速な対応が求められます。この報告を怠った場合は、行政処分や罰則の対象となる可能性があり、コンプライアンス上の大きなリスクとなるでしょう。 

 

■パスワード漏洩の主要な原因(4つ)


パスワード漏洩は、高度なサイバー攻撃のみが原因ではありません。人的・組織的な要因が引き金となるケースが数多く存在します。ここでは、パスワード漏洩につながる代表的な4つの原因について解説します。 
 

1)複数サービスでの「パスワードの使いまわし」 

業務で利用するクラウドサービスが増加し、従業員一人ひとりが管理するIDとパスワードの数は増大しています。その結果、利便性を優先して複数のサービスで同一のパスワードを使いまわす従業員は少なくありません。 
しかしこの行為は、一つのサービスから漏洩した認証情報を用いてほかのサービスへの不正ログインを試みる「パスワードリスト攻撃」のリスクを高めます。
結果として、連鎖的な情報漏洩を引き起こす要因となるのです。 
 

2)退職した従業員のアカウント放置 

従業員が退職したあとも、社内システムやクラウドサービスのアカウントを削除せずに放置することは、重大なセキュリティリスクです。 
悪意を持った元従業員による不正アクセスだけでなく、休眠アカウントが第三者に乗っ取られ、攻撃の足がかりとして悪用される可能性もあります。 
そのため、退職者アカウントを速やかに無効化・削除することは、情報漏洩対策における基本的な運用ルールです。 
 

3)フィッシング詐欺による窃取 

実在の企業やサービスを装い、偽のWebサイトへ誘導して認証情報などを入力させるフィッシング詐欺は、依然としてパスワードを窃取する古典的かつ強力な手口です。 
その手口は年々巧妙化しており、従業員が正規のサイトと誤信してIDとパスワードを入力してしまうケースはあとを絶ちません。この脅威を防ぐには、従業員への継続的なセキュリティ教育と、不審なメールやサイトを検知・遮断する技術的な対策の両方が不可欠です。 
 

4)システムやソフトウェアの脆弱性 

社内で利用しているOSやアプリケーション、ネットワーク機器などに存在する「脆弱性」を修正せずに放置することも、パスワード漏洩の大きな原因です。 
攻撃者はこの脆弱性を悪用してシステム内部へ侵入し、最終的に認証情報が保存されたデータベースにアクセスして、IDとパスワードのリストを丸ごと盗み出すことがあります。
そのため、ソフトウェアを常に最新の状態に保ち、脆弱性情報を定期的に確認することが重要です。 

 

■パスワードの漏洩被害を最小化する4つの緊急対策法 

万が一パスワードの漏洩が発覚した場合に被害を最小限に抑えるためには、迅速かつ冷静な初期対応が不可欠です。ここでは、情報システム担当者が漏洩時に取り組むべき、4つの具体的な緊急対策法について解説します。 
 

1)被害が疑われるサーバーや端末をネットワークから隔離 

パスワード漏洩による不正アクセスが疑われる場合、まず行なうべき対応は被害端末やサーバーをネットワークから切り離すことです。 
ネットワークから切り離すことによりマルウェアの感染拡大や、攻撃者による社内ネットワークでのさらなる情報探索を防ぎ、被害範囲を限定できます。被害の封じ込めは、その後の詳細な調査と復旧作業を円滑に進めるための絶対条件です。 
 

2)漏洩したアカウントの即時ロックとパスワードの強制リセット

ネットワークからの隔離と並行して、漏洩した可能性のあるアカウントを特定し、ただちにロックまたは無効化する措置を講じます。この対応によって、攻撃者がそのアカウントを悪用してシステムに再侵入したり、不正な操作を継続したりすることを防ぎます。 
同時に、当該アカウントのパスワードを強制的にリセットし、一時的に複雑で安全なパスワードへ変更することが重要です。 
 

3)すべてのアクティブセッションの強制切断 

セッションの強制切断は、パスワード漏洩にかかわらず自社システムへの不正アクセスに対しての緊急対策です。攻撃者が盗んだセッションを悪用した場合、セッションはIDやパスワードの情報を用いないため、パスワードの変更は効果がありません。 
このような不正操作を防ぐために、システムにログインしている全ユーザーのセッションを強制的に切断(強制ログアウト)する対応が必要です。これにより、システム内に潜伏している攻撃者を確実に排除し、クリーンな状態からアクセス制御を再構築できます。 
 

4)特権アカウントの監査と監視強化 

システムへ侵入した攻撃者は、より強力な権限を持つ管理者アカウント(特権アカウント)の奪取を試みるのが常套手段です。 
そのため、インシデント発覚後は、すべての特権アカウントの操作ログを徹底的に調査し、不審なアクティビティの有無を速やかに確認する必要があります。 

併せて、すべての特権アカウントのパスワードをリセットし、アクセス監視体制を強化することで、二次被害のリスクを低減させます。 

 

■これからの企業防衛のスタンダード「IDaaS」とは? 


根本的かつ持続可能なセキュリティ体制を築くためには、認証基盤そのものを見直す必要があります。その解決策として、現代の企業防衛における新たなスタンダードとなりつつあるソリューションが「IDaaS」です。 
 

◇煩雑なID・パスワード管理をクラウドで一元化 

IDaaS(Identity as a Service)とは、ID認証とアクセス制御の機能をクラウドサービスとして提供するソリューションです。 
企業が利用する複数のクラウドサービスや社内システムのID情報を一元管理し、入退社にともなうアカウントの発行や削除といった運用を一括管理できます。 
これまで手作業に頼りがちだったID管理が効率化されるため、退職者アカウントの放置といったセキュリティリスクを根本から解消することが可能です。 
 

◇シングルサインオン(SSO)で利便性とセキュリティを両立 

IDaaSが提供する代表的な機能の一つがシングルサインオン(SSO)です。SSOは、一度の認証で連携している複数のクラウドサービスやシステムへ自動的にログインできる仕組みです。そのため、従業員は覚えるべきパスワードが実質的に一つで済みます。 
パスワード管理の負担が大幅に軽減されることで利便性が向上し、結果として、複数サービス間でパスワードを使いまわすといった危険な行動を抑制する効果が期待できます。 
 

◇なぜ今、IDaaSが多くの企業で導入されているのか? 

テレワークの普及やクラウドサービス利用の急増にともない、企業が管理すべきIDとパスワードの数は爆発的に増加しています。そのため、従来の管理手法ではすでに限界を迎えています。 
社内ネットワークは安全であるという前提に立つ「境界型防御モデル」は、もはや現在のビジネス環境には適合しません。そのようななか、IDaaSは社内外を問わず、すべてのアクセスを検証する「ゼロトラストセキュリティ」を実現するうえで不可欠な中核技術です。 

このように、IDaaSは現代の企業にとって欠かせないセキュリティ基盤となりつつあります。 

 

■【IDaaS初】GMOトラスト・ログインの「パスワード漏洩検知オプション」 

GMOトラスト・ログインは国産IDaaSとして導入実績があり、対応アプリ数や認証局としての実績にも触れられています。

その上で、IDaaSとして国内初の「パスワード漏洩検知オプション」を提供した、と記事は説明しています。

オプションでできること(要点)

・フォームベース認証等で使うアプリのパスワードが、ダークウェブに流出していないか常時監視

・漏洩検知時に「どのユーザーが」「どのアプリで」危険なPWを使っているかを即特定 

・定時スキャン結果を管理者にレポート自動送信 

・料金:1アカウントあたり月額200円〜

→「GMOトラスト・ログイン」のサービスサイトはこちら

 

■FAQ

Q1. 企業が最初にやるべきパスワード漏洩対策は?
A. まずは「漏洩していないかの定期チェック」(Googleチェックアップ / HIBP Domain Search / ダークウェブ監視)で現状把握し、次に退職者アカウント無効化やSSOなど運用改善へ進めます。

 

Q2. 漏洩が疑われたら最初の初動は?
A. 端末・サーバの隔離→アカウントロック&強制リセット→全セッション切断→特権監査の順で、封じ込めと再侵入防止を優先します。 

 

Q3. なぜ“セッション強制切断”が必要?
A. 攻撃者がセッションを盗んでいると、パスワード変更だけでは遮断できないためです。 

 

Q4. 恒久対策としてIDaaSが挙がる理由は?
A. IDを一元管理し、SSOで使い回しを抑え、入退社運用も含めて“漏洩が起きやすい運用”自体を減らせるからです。

 

 

■まとめ

パスワード漏洩は、パスワードの使いまわしやフィッシング詐欺といった身近な原因から発生し、企業の信用失墜や事業停止といった深刻な経営リスクに直結する脅威です。 

漏洩が疑われる際には、Googleの機能や専門サイトで状況を確認し、被害端末の隔離やアカウントの即時ロックといった迅速な対応が不可欠となります。 
しかし、このような事後対応だけでは不十分です。IDaaSを導入してアカウントを一元管理し、根本的なセキュリティ体制を構築することが現代の企業に求められています。 

GMOトラスト・ログインが提供する「パスワード漏洩検知オプション」のような最新ソリューションを活用し、先を見越した企業防衛を実現しましょう。  

無料で使える「GMOトラスト・ログイン(旧 SKUID)」の資料請求はこちら

この記事を書いた人

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GMOグローバルサイン株式会社
トラスト・ログイン事業部
プロダクトオーナー
森 智史

国内シェアNo.1のSSL認証局GMOグローバルサインで10年間サポート部門に従事。抜群の知識量と分かり易い説明で多くのお客さまからご支持いただく。
現在は自社IDaaSのプロダクトオーナーとしてお客さまの意見を伺いながら使いやすくセキュリティの高いサービスを開発者たちと共に作成中。