電子契約のセキュリティリスクとは?企業が取るべきセキュリティ対策

2024/10/30

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電子契約はビジネスの効率化やコスト削減に大きなメリットをもたらしますが、一方で、情報漏えいや改ざんなどのセキュリティリスクも無視できません。

特に、契約内容が失われる可能性があるファイルの破損や、不正アクセスによるデータ漏えいなど、企業にとって深刻な問題が発生する可能性があります。

この記事では、電子契約に存在するセキュリティリスクと、それに対処するための効果的なセキュリティ対策について詳しく解説します。

 

■電子契約とは

電子契約とは、インターネットなどの情報通信技術を活用して締結される新しい形態の契約です。

従来の紙に印刷し押印して締結する契約書とは異なり、電子ファイルに電子署名やタイムスタンプなどの電子データを記録することで成立します。
パソコンやタブレットなどのデバイスを使用し、電子データのやり取りのみで契約プロセスが完結するのが特徴です。

電子契約は法的にも有効性が認められており、電子署名法第3条では、適切な電子署名が付与された電子文書は、押印された紙の契約書と同等の効力を持つと定められています。

参考:e-Gov法令検索「電子署名及び認証業務に関する法律」

 

■電子契約ツールの利用が加速

電子契約ツールの利用が加速している背景には、2022(令和4)年1月に施行された電子帳簿保存法の改正があります。

電子帳簿保存法は、各税法で紙での保存が義務付けられていた帳簿や書類を、一定の条件のもとで電子データとして保存することを可能にする法律です。コロナ禍によるテレワークの普及や、それにともなうデジタル化の要請を受けて改正が行なわれました。

2022年の法改正により2024(令和6)年1月からは、電子取引データで取引したものを紙ではなくそのままデータとして保存することが義務化されています。

この法改正への対応策として、電子契約ツールの導入が注目されています。
電子契約ツールは、契約書だけでなく請求書、納品書、領収書などの電子化も実現するものです。

電子帳簿保存法への対応が求められるなか、電子契約ツールは効果的な解決策となっており、導入企業が増加しています。今後も、電子契約ツールの利用が加速し、各種ビジネスプロセスのデジタル化が進展すると思われます。

 

■電子契約のメリット

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電子契約には、従来の紙ベースの契約方式と比較して多くの利点があります。電子契約の主要なメリットについて見ていきましょう。

◇業務の効率化

電子契約は、紙の契約書と比較して業務の効率化に大きく役立ちます。

紙の契約書は、印刷、署名、郵送、保管といった多くの工程が必要でした。しかし、電子契約ではインターネットを介して迅速に締結できるため、手続きにかかる時間を大きく短縮できます。

また、契約書の管理や検索もデジタル上で容易に行なえるため、業務のスピードと生産性が向上する点もポイントです。

特にリモートワークにおいては、物理的な書類のやり取りが必要ない電子契約のほうが、場所などに制限されず業務を円滑に進められるでしょう。

◇コストの削減

電子契約の導入により、企業はさまざまな面でコストを削減できます。

まず、紙の契約書に関連する印刷費用や郵送費用が不要となります。
また、契約書を物理的に保管するためのスペースや保管費用も節約できるでしょう。

契約手続きがデジタル化されることで、人手に依存する部分が減り、人的コストの抑制にもつながります。
さらに、電子契約書には収入印紙が不要であるため、収入印紙代も節約可能です。

◇コンプライアンスの強化

電子契約は、企業のコンプライアンス(法令遵守)を強化する手段としても有効です。

電子署名やタイムスタンプを使うことで、契約が正当なものであり、改ざんされていないことを確認できます。

また、デジタル記録によって、誰がいつ何をしたかを追跡できるため、不正行為の防止に役立ちます。

電子契約の導入により、企業は法的リスクを軽減し、より透明性の高い取引環境の構築を期待できるでしょう。

 

■電子契約のセキュリティ要件を満たす仕組み

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電子契約が従来の書面での契約と同等の法的効力を持つためには、厳格なセキュリティ要件を満たす必要があります。具体的には、以下の3つのセキュリティ要件が重要です。

  • ●    真実性
  • ●    非改ざん性
  • ●    本人性

    これらの要件を満たすため、電子契約システムには特別な仕組みが組み込まれています。

ここでは、セキュリティ要件を満たすための3つの重要な仕組みについて解説します。

◇電子署名

電子署名は、電子契約の真実性と本人性を保証するための仕組みです。この技術を利用することで、契約がたしかに本人によって行なわれたことを証明できます。

電子署名には公開鍵暗号方式が使われており、署名者は自身の秘密鍵を使用して署名を行ないます。

一方、受け取った側は署名者の公開鍵を用いてその署名を検証するという仕組みです。

このようなプロセスにより、署名が改ざんされていないことが確認でき、契約の真正性が確保されます。

◇電子証明書

電子証明書は、電子署名を支える重要な要素であり、署名者の身元を確認するためのデジタル証明書として機能するものです。第三者機関の認証局によって発行され、電子証明書には署名者の公開鍵やそのほかの認証情報が含まれています。

電子証明書を使用すると、署名者がたしかにその本人であることが証明され、契約の本人性が保証されます。

結果として、契約が第三者によって不正に行なわれるリスクが低減されるのです。

◇タイムスタンプ

タイムスタンプは、電子契約の非改ざん性を確保するための仕組みです。タイムスタンプを利用することで、契約書が特定の日時に存在していたことを客観的に証明できます。

タイムスタンプは時刻認証業務認定事業者によって発行され、電子契約書に対して付与されます。

このプロセスにより、契約書がその後に改ざんされていないことを証明でき、文書作成時刻についての信頼性を客観的に保証することが可能です。

 

■電子契約の種類

電子契約は、電子署名を行なう人によって大きく「当事者型」と「立会人型」の2種類に分けられます。

ここでは、当事者型と立会人型について詳しく説明します。

◇当事者型

当事者型は、契約の当事者同士が直接電子署名を行なう形式です。

例えば、売り手と買い手、あるいは雇用者と従業員などが、それぞれ自身の電子署名を契約書に付与します。

当事者型の方式で契約する場合、当事者は認証局に本人性を証明する書類を提出し、電子証明書が格納された電子ファイルを発行してもらう必要があります。

◇立会人型

立会人型は、第三者(立会人)が契約の成立を認証する形式です。この形式では、第三者が契約の透明性と信頼性を確保する役割を果たし、取引の安全性を高めます。

立会人型で電子署名を行なう場合は、クラウドサービスへのログイン(2要素認証を含む)とメール認証の組み合わせで本人確認を行なうのが一般的です。

 

■電子契約のセキュリティリスク

電子契約には多くのメリットがある一方で、セキュリティリスクも存在します。

以下では、電子契約に関するおもな4つのセキュリティリスクについて紹介します。

◇情報漏えい

電子契約のデータが不正アクセスや盗難の被害に遭うと、個人情報や企業の機密情報が外部に漏えいし、データが悪用されるリスクが高まります。

このようなリスクを軽減するためには、強固なアクセス制御システムの導入やデータの暗号化が必要です。

◇改ざん

電子契約の文書が改ざんされると、契約内容が不正に変更される可能性があります。改ざんされた契約書に基づいて取引が行なわれた場合、当事者にとって重大なリスクとなり、法的問題や経済的損失につながるおそれもあるでしょう。

改ざんのリスクに対処するためには、データの完全性を確保するための技術的な対策が必要です。

◇ファイル破損

電子契約の保存先でデータが破損した場合、契約書の内容が失われる可能性があります。契約の内容が証拠として使えなくなるおそれがあり、法的紛争などの際に深刻な問題となるかもしれません。

ファイル破損のリスクを回避するためには、定期的なバックアップや、安全なデータ保存場所の選定が重要です。

◇アクセス停止

電子契約で用いた契約書データの保管媒体には、CD-Rなど光学メディアや磁気媒体があります。しかし、これらの媒体の寿命は長くても20年程度といわれているため、長期的な可用性面でのリスクにつながります。

電子契約のデータにアクセスできなくなるリスクに対処するためには、保管媒体のメンテナンスを怠らないことが大切です。また、サーバーではなくインターネット上で使えるクラウドにデータを保管する方法も有用です。
 

■電子契約ツールの利用におけるセキュリティ対策

電子契約ツールを安全に利用するためには、適切なセキュリティ対策を講じることが大切です。

ここでは、電子契約ツールを利用する際に重要となる主要なセキュリティ対策について見ていきましょう。

◇アクセス権限の管理

電子契約ツール利用時のセキュリティ対策には、契約書へのアクセス権限を、役職や業務内容に応じて厳密に制御する方法が有効です。必要な権限のみを与え、変更や削除などの操作は認可された人だけが行なえるようにすることで、不正アクセスや情報漏えいのリスクを軽減できます。

また、アクセスログの監視を通じて、不審なアクセスや活動を早期に検知することが可能です。

◇多要素認証の導入

セキュリティをさらに強化するには、パスワードだけでなく、追加の認証手段を要求する多要素認証を導入するのも有効な手段です。

例えば、顔認証や指紋認証などの生体認証を併用すれば、本人性の確証を高めることができ、不正アクセスのリスクを低減できます。

◇ウイルス対策ソフトの導入

適切なウイルス対策ソフトを導入し、すべての端末で定期的にスキャンを実施することも重要なセキュリティ対策です。

もしウイルスが侵入すると、パソコンが正常に動作しなくなり、ファイルが開けなくなる、または削除されるなどの深刻な問題が発生する可能性があります。

ウイルス対策ソフトを導入すれば、インターネットからのウイルス侵入を防御し、万が一感染した場合でも迅速に駆除することが可能です。
 

◇社内教育の徹底

従業員が情報漏えいリスクを理解し、適切に対処できるようにするためには、定期的な社内研修が不可欠です。電子契約の基本的な取り扱い方針を周知し、情報漏えいのリスクとその重要性を伝えましょう。

法的な観点からの講義だけでなく、技術的な側面からのトレーニングも含め、多岐にわたる内容を提供することが大切です。
 

■電子契約のセキュリティ対策に相性の良い手段

電子契約のセキュリティ対策に相性の良い手段として、IDaaS(identity as a service)が注目されています。

IDaaSは、クラウド経由で提供されるID管理サービスであり、以下の理由から電子契約のセキュリティ対策に適しています。

・アクセス管理の強化
・認証の強化

IDaaSを利用することで、アクセス権を効果的に管理し、必要な範囲のみにアクセスを制御できます。これにより、電子契約への不正アクセスや情報漏えいのリスクを低減することが可能です。

また、IDaaSは多要素認証やシングルサインオン(SSO)などの高度な認証方式を提供し、ユーザーの身元確認を強化します。電子契約では署名者や関係者の本人確認が極めて重要ですが、IDaaSを活用することで認証の信頼性を高め、より安全で効率的な契約プロセスを実現できます。
 

■電子契約の入口のセキュリティ対策には「GMOトラスト・ログイン」がおすすめ

電子契約のセキュリティは、契約書そのものだけでなく、その入口であるログインプロセスから始まります。

GMOトラスト・ログイン」は、SSOとIDaaSを提供し、電子契約のセキュリティを強化するためのおすすめのソリューションです。

GMOトラスト・ログインの導入により、一度のログインで複数の契約管理システムや関連サービスに安全にアクセスでき、パスワード管理の手間を省けます。パスワードの使い回しや弱いパスワードの使用を防ぐことで、セキュリティリスクの低減が可能です。

また、多要素認証やアクセス制御機能を備えており、電子契約への不正アクセスを防止します。

導入事例はこちらから

 

■まとめ

電子契約ツールの利用が加速するなか、あらゆる企業にとってセキュリティリスクへの対策は欠かせない課題です。

情報漏えいや改ざん、データ破損といったリスクに対処するためには、定期的なバックアップや強固なアクセス制御の導入が求められます。また、本人確認や認証プロセスを強化することも、リスク軽減に効果的です。

適切なセキュリティ対策を行ない、安全で効率的な電子契約環境を整えましょう。

GMOトラスト・ログインでは、電子契約のリスクに対応するための強力なセキュリティ機能を提供し、安全な電子契約の運用をサポートいたします。

お問い合わせはこちらから


 

この記事を書いた人

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GMOグローバルサイン株式会社
トラスト・ログイン事業部
プロダクトオーナー
森 智史

国内シェアNo.1のSSL認証局GMOグローバルサインで10年間サポート部門に従事。抜群の知識量と分かり易い説明で多くのお客さまからご支持いただく。
現在は自社IDaaSのプロダクトオーナーとしてお客さまの意見を伺いながら使いやすくセキュリティの高いサービスを開発者たちと共に作成中。