IDガバナンスと管理(IGA)とは?具体的な機能や導入メリット
「IDガバナンスと管理」や「IGA」という用語を見聞きしたことはあっても、詳しい内容を知らない方も多いのではないでしょうか。
企業のアクセス管理やセキュリティを強化するためには、IDガバナンスと管理(IGA)が非常に重要です。
この記事では、IGAの基本をわかりやすく解説し、具体的な機能や導入によるメリットを紹介します。また、スムーズなIGA導入のためにおすすめのサービスも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
■IDガバナンスと管理(IGA)とは?
IGA(Identity Governance and Administration)は「IDガバナンスと管理」とも呼ばれ、ID管理とIDガバナンスを統合したソリューションです。
ID管理とは、ユーザーのIDやパスワードといったアカウント情報の作成・変更・削除・権限付与などを指します。
一方、IDガバナンスとは、ユーザーが必要とするアクセス権限を持ち、過不足なくアクセスできるように制御するプロセスです。また、アクセス権限の可視化や適切な権限の割り当ても含まれます。
IGAは、アクセス権限を最適に調整することで不正アクセスへの対策を強化し、情報漏洩やサイバー攻撃といったリスクを低減させます。その結果、企業はより安全で効率的なID管理とIDガバナンスを行なうことが可能となるのです。
■IDガバナンスと管理(IGA)の重要性
企業のIT環境が複雑化するなか、クラウドやリモートワークの普及にともないセキュリティ対策の難しさがより増しています。
こうしたリスクに対処するために、「ゼロトラスト」というセキュリティモデルが注目されています。ゼロトラストとは、すべてのアクセスを常に疑い、安全性を検証するアプローチです。
ゼロトラストを実現するために、重要な要素となるのがIGAです。
IGAは、ユーザーのアカウント情報・アクセス権限を一元管理し、不正アクセスや情報漏洩を防ぎます。つまり、適切なアクセス権限の付与と常時監視により、企業内の業務を透明にし、セキュリティを強化することが可能になるのです。
さらに、IGAはコンプライアンスを確保するために必要な記録を提供し、監査対応を簡単にします。
例えば、ユーザーがどのシステムにアクセスしたかを詳細に記録し、いつでも確認できるようにすることで、法規制への対応が容易になります。
このように、IGAは現代の企業運営において非常に重要な要素となっています。
■IDガバナンスと管理(IGA)の機能
前章ではIGAの重要性について解説しましたが、ここからは、IGAの主要な機能を4つ紹介します。
◇パスワード管理
IGAは複数のシステムのパスワードを集中管理できます。
IGAでパスワードを変更すれば、その変更が全システムに反映されます。つまり、ユーザーは1つのパスワードがあれば、全システムにログインすることができるのです。
さらに、パスワードの変更時にはパスワードポリシーが自動的に適用されることから、一部のシステムで簡単なパスワードが使用されるといった事態も防げます。
◇アクセス要求管理
IGAでは、自動ワークフローによって、従業員が業務に必要なシステムへのアクセス権を要求しやすくなります。
管理者は、ユーザーが入社したときに、必要なアカウントやアクセス権の付与を素早くできます。また、ユーザーが退職する際には、すべてのアクセス権を簡単に削除することが可能です。
さらに、ユーザーの役割に応じて、どのアプリケーションやシステムにアクセスできるかを決定し、そのアクセス権のレベルも設定することができます。そのため、管理者がアクセスリクエストを承認するプロセスも容易となります。
◇権限管理
IGAの権限管理機能を利用することで、管理者はユーザーが使用できるアプリケーションやシステム、作業の範囲などを指定・検証できます。
例えば、あるユーザーにはデータの追加や編集を許可し、別のユーザーにはデータの閲覧のみを許可するなど、細かい権限の指定が可能です。
また、特定のユーザーにはデータを削除する権限を与えることもできます。
◇プロビジョニング
プロビジョニングとは、システムやアプリケーションなどのリソースに対して、ユーザーやデバイスが正常に利用できるような準備・設定を行なうことを指します。
具体的には、新しいユーザーアカウントの作成や設定、必要な権限やリソースの割り当て、そのユーザーがシステムやアプリケーションにアクセスできるようにする作業などが含まれます。
IGAは、オンプレミス環境・クラウド環境のどちらにおいても、ユーザーやアプリケーションごとにアカウントとアクセス権限のプロビジョニング・プロビジョニング解除を実行可能です。
■IDガバナンスと管理(IGA)と従来のID管理の相違点
従来のID管理では、社員の入社時の対応しか考慮されていませんでした。そのため、異動や退職のあとも適切でないアクセス権限が残る危険性や、手作業でのユーザー対応の手間、コンプライアンス違反のリスクがありました。
さらに、部門ごとにSaaSを導入するケースでは、それがID管理の範囲外となり、セキュリティリスクを高める要因となっていました。
一方、IGAはアクセス権の承認フローの自動化や職務分掌ポリシーの作成を通じて、業務負荷を軽減し、利益相反やコンプライアンス違反のリスクを低減します。
このように、IGAの導入により組織全体での一元的かつ効率的なID管理が実現し、より安全なIT環境の構築を期待できるようになったのです。
■IDガバナンスと管理(IGA)導入のメリット
IGAを導入することにはさまざまなメリットがあります。ここでは、おもなメリットを紹介します。
◇セキュリティを強化できる
定期的なIDの見直しや棚卸しが可能となり、不要な権限を削除し過剰な権限を整理できます。このような機能は、不適切なIDやアクセス権限による不正アクセスを抑制することにつながります。
また、権限の組み合わせで生じるセキュリティリスクを迅速に見つけて、未然に排除することも可能です。
◇コンプライアンス向上に役立つ
詳細なレポートと分析が可能となり、管理者は企業全体の状況を把握しやすくなります。
状況の把握によって、問題やリスクの迅速な特定・早期対処が可能になり、重要なビジネスデータや資源を保護できます。
さらに、データの管理拠点が1ヵ所に集約されるため、管理者はアクセスレポートを定期的にチェックしやすくなり、法律や規制に準拠した運用を確実に行なえます。
◇業務効率が向上する
手作業だったアクセス権の管理やID・パスワード管理の自動化が実現され、IT部門の管理コストを削減できます。
IGAには、アカウント情報の追加および削除、ユーザーごとのアクセス権限・アクセス履歴のレポーティング機能が備わっているのが一般的です。これらの機能により、レポート作成が迅速化し、業務改善に貢献します。
また、強固なIGAソリューションによって、企業はリモートアクセスを安全かつ制御された状態で提供できるため、従業員の生産性とパフォーマンス向上も期待できます。
■IDガバナンスと管理(IGA)の実現は「GMOトラスト・ログイン」がおすすめ
IGAはアクセス権限の一元管理やコンプライアンスの向上を支援しますが、その効果をより引き出すためには「シングルサインオン」が有用です。
シングルサインオンとは、ユーザーが1つの認証情報で複数のシステムにアクセスできる仕組みを指します。パスワードをセキュアに一元管理することはもちろん、アクセス要求管理における利用アプリの管理や、ログイン情報のログを取得し保管・管理まで可能です。
そんなIGAn役立つシングルサインオンを導入するなら、「GMOトラスト・ログイン」がおすすめです。
GMOトラスト・ログインは、Google Workspace(G Suite)やMicrosoft 365 (Office 365)などのクラウドサービスに加え、社内システムなどのWebシステムにもシングルサインオンを実現します。フォームベース認証、SAML認証、Basic認証の3種類のシングルサインオンを利用でき、業務で利用するサービス、ツールへのシングルサインオンを幅広くカバーします。
また、GMOトラスト・ログインは無料プランから試すことができ、プロプランでもユーザー1人あたり月額基本料金 300円(税抜)とリーズナブルです。初期登録は無料で長期間の構築作業も不要なため、よりスムーズかつ効率的にIGAに役立てることができるでしょう。
興味をお持ちの企業様は、ぜひGMOトラスト・ログインをご検討ください。
■まとめ
IGAは現代の企業にとって重要なソリューションです。ID管理とIDガバナンスを統合し、セキュリティ強化やコンプライアンス向上、業務効率化に役立ちます。
IGAを取り入れた企業は、適切なアクセス権限の管理とプロビジョニングにより、不正アクセスのリスクを低減し、安全なIT環境を構築できます。さらに、煩雑なID管理作業を自動化することで、管理コストの削減と業務の透明性を高めることも可能です。
IGAの導入には、シングルサインオンを実現するGMOトラスト・ログインがおすすめです。IGAで企業のセキュリティと業務効率を高めるために、GMOトラスト・ログインの導入をぜひご検討ください。
この記事を書いた人
GMOグローバルサイン株式会社
トラスト・ログイン事業部
プロダクトオーナー
森 智史
国内シェアNo.1のSSL認証局GMOグローバルサインで10年間サポート部門に従事。抜群の知識量と分かり易い説明で多くのお客さまからご支持いただく。
現在は自社IDaaSのプロダクトオーナーとしてお客さまの意見を伺いながら使いやすくセキュリティの高いサービスを開発者たちと共に作成中。